債務整理後のこと

■債務整理をするとどうなるか
債務整理には4つの方法があります。「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」です。
それぞれの方法ごとに、その後の生活には違いが出ると思いますが、とりあえず一般的なものを書き出してみます。
●メリット
・取り立てや督促が一切なくなります。
・支払いは依頼した法律事務所一箇所だけになります。(個人再生の住宅ローンは別)
・支払い額は依頼時に話し合った返済可能額だけで済みます。
・普通は周囲の人には気づかれません。(厳しい取り立てを受けていた人が自己破産で引越の場合などは別ですが)
・任意整理では過払い金が戻ることがあり、さらに返済が楽になったり、お金が返ってくることもあります。
・自己破産して持ち家を処分した場合以外は、まず引っ越す必要もありません。
・個人再生手続きの場合などは、借金が大幅に減額されます。
・特定調停以外は法律家にお任せするので、頭を悩ませずにすみます。
●デメリット
・いわゆるブラックリストに載るため、数年間は借金ができません。(期間は、債務整理の方法、金融会社の基準、本人の生活状況により変わるため一概には言えません)
・ヤミ金に狙われやすくなります。(下記参照)
・自己破産の場合は持ち家や価値の高い資産・車は処分されます。引越しが必要な場合もあります。
・自己破産の場合、特定の職種はいったん仕事を辞めなければいけません。
■ほとんどの場合、大きな変化はありません
一般的に法律事務所に頼んで借金の整理(債務整理)をしたら、生活が一変して大変なことになるんじゃないかという誤解がまだまだ多いようです。
人によっては借金の整理=自己破産しかないと思っている人もおり、債務整理後はみじめに爪に火を灯すような生活をしなければならないと思っている方もいらっしゃいます。また、選挙権が無くなるとか、戸籍に載るとか、海外にいけなくなるとか、さまざまな嘘の情報、古い情報に振り回されている人も多くいらっしゃいます。
実際には、ほとんど大きな変化は無いまま暮らしを続けることができます。しいていえば借金ができなくなることでしょう。カードも使えなくなります。でもほとんどそれだけです。
違う意味の変化として、逆に借金の心配が無くなって明るくなったり、生活や仕事に張り合いが出てくるというプラスの変化はあるかもしれません(もちろん債務整理の方法やそれぞれの債務状況、生活・収入の状況により一概にはいえませんが)。
払いきれないほどの大きな借金を背負ってしまった場合は、債務整理をしてやり直すというのはとても意味の有ることなのです。
■生活の見直し
債務整理で多重債務が解消され出直しの生活が始まった場合、再度同じ状況にならないためには多重債務に陥った原因を見極める冷静さが必要です。
収入と支出のバランスが崩れないような生活をしていく必要もあります。
家計管理をしっかりとすることにより、お金の流れが見え無駄、無理、が判断できるようになります。家計簿等をつける習慣をつけると収支のバランスが把握しやすくなります。
■ヤミ金に狙われます
債務整理後は数年間、信用情報機関に名前が載るため(いわゆるブラックリスト)
金融業者からの借金も、クレジットカードの利用さえもできなくなります。
ヤミ金はそうなった人たちをかっこうの餌食として狙っています。
ヤミ金は「名簿屋」から多重債務者や自己破産者の名簿を入手して、ダイレクトメールや電話、ファクスなどで融資勧誘を行っています。
どんな場合でも、絶対にヤミ金からはお金を借りないようにしなければなりません。
→ヤミ金についてはこちらへ
■イザというときへの備えを確保する
日々の暮らしの中では、突然まとまったお金がどうしても必要になることは実際あります。そんな時ブラックリストに載ってしまって一般の金融会社から借りられなくなると、ついヤミ金に手を出しそうになるかもしれません。
しかし、それだけは絶対にしてはいけません。
少しずつでもいいのでイザというときのための貯金をするとか、身内などに頼んである程度のお金をイザという時のために準備しておいてもらうというのも大切です。
■セーフティネット貸付け
もし予定外の急な出費でお金が必要になった場合は、自治体の窓口に借入の相談をしてみるという方法もあります。
独自の資格基準を設け医療費、子どもの教育費などの費用を貸し付けている自治体もあります。社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付」などの利用ができる場合もあります。
また、現在はまだ少数ですが自治体によっては独自でNPO法人や、生協、金融機関、と連携して貸出事業を始めたところもあります。
もしものときに「ヤミ金融」の誘惑に負けないよう、公的機関の借入先を調べておきましょう。